毎月、会長が報告して下さる例会報告です。
今回の映画日記で、理解できない映画がありました。P163の『ミスター・ランズベルギス』です。この独立をゴルバチョフ政権は憲法違反だとして認めなかったということですが、詳細がわかりません。エリツィン大統領になって、認められて独立ということのようですが、相互の合意はあったのか? パソコンで、だいぶ右寄りのチャンネル桜という番組がありますけれど、そこではアメリカの一極支配の陰謀だったと報じられています。そのエリツィン時代、ロシアのGNPは45%も下落し、国民の寿命は67歳だったものが57歳に縮まってしまったとか。それを、どうにか元に戻したのがプーチンだそうです。ロシアを共産主義の国だといまだに思っている方が多いようですが、資本主義の国なのです。グローバルサウスがなぜ出現するのか、それは一極支配へのNOです。
母が子供達へ、あるいは孫たちにおくるエールです。ぐんぐんのびる植物たち。沸き立つハルゼミの地鳴りのような鳴き始め、シジュウカラの子育て、浅間山の真白き噴煙が立ち上がっている。せちがらい世の中だけど、わが家の孫たちはのんびりとしたものです…。春よ、春。春なのよ。鞄を背負って、朝礼に遅れないように、一緒に行って、明日につながるような勉強をしていらっしゃい、友達とは仲良く、先生には礼をもって、元気に一日を満喫して帰っていらっしゃい。一連、二連、三連は、自然視点で描写して、わが家の主役たるべき浅間山をデンと置き、人間社会の塩梅はと見わたして、春、船出した孫達よ、横道に逸れず、それぞれ自分の、嶺を目指し邁進せよ。…と。ハルゼミって、春の蝉ということなのでしょうか。(夏を待てずに出てきた蝉?)
シリーズも長くなり、どうしても、読者としては中だるみに陥ってしまいます。そのようになってしまうのは、『プルトニウム増殖理論』がうまく理解できないからではないかと思います。プルトニウムを炉で燃やすと、〈燃やしたプルトニウム以上の量のプルトニウムが得られる〉との理論は、手品師の、種を仕込んでの手品のようで、合点がいきません。もっとも、難しい数式を書かれてもチンプンカンプンでしょうけれど。現在はやっていないようですが、日本だけがこれまで、燃やした量よりも多くのプルトニュウムを得られるとの夢を追っていたのは何故なのか? 何を根拠にしていたのか、知りたいところです。これも、提示されてもチンプンカンプンなのでしょうけれど。この作品が納得のいくように書かれることができたら、ほんと、革命的な成果になるでしょう。
描写の間合いといいますか、呼吸の間合いを作者は的確に捉えた文体をマスターしているのには感心します。表現のコツみたいなものをつかむと、作品を書くこと自体が楽しくなるのではないでしょうか。高尾山に行くことも楽しく、それを書くことも楽しいのですから、思うに、作者は金鉱を掘り当てたようなものなのではないでしょうか。ただ、高尾山の素晴らしいことをすべて描写しようとすると、紙面のせせこましさがかえって目立ってしまいます。バリエーションということからいうと、登ることだけではなく、ケーブルカーだったり、登山鉄道、頂上でお坊さんの説教を拝聴したり、ときには御本尊へのお目見えとか、高尾山のいろんな面の紹介もしていただければ、さらにありがたいです。もっとも、抹香臭いのは苦手なのかもしれませんね。
みごとな作品です。気球に乗ってタイムワープをするという設定は、構成上のことで、他界した母や、子供時代の自分とのすれ違い、それらを他人といってはなんですが、妻の方でも見るのです。幽霊話だと信じられないのですが、このような書き方をされると、なぜか「お話」ではなくて実際にあった出来事なのではないかと心が動きます。作者はどのようにしてこの作品を書かれたのか、伺いたいものです。ありえないことを書くために、あり得るという方に力を入れてしまうならば、たぶん、この作品は空中分解してしまいます。ここぞ、というところでスッと力を抜く、なかなかできないことです。ゆえに感動しました。作品をよんで涙を流したのは久しぶりのことです。次々とこのような作品を書くことは難しいですけれど、ゆっくり書いて、読ませてください。
不思議な作品です。塔の沢の砂浜に衣服を身に着けたまま首まで埋められている。そんな状況のまま、このようになった顛末の世界が語られて行きます。その首まで埋められた男は百科事典のセールスマンなのか、それとも百科辞典を購入した男なのか、それはともかく……その辞典から零れ落ちてくるかのような様々な知識が零れ落ち、揉まれ、そこになぜか小夜子が介在し、満潮になると俺は死んでしまうだろうに、潮の満ちてくるのを無限級数的に微分化すると、自ずと時間の遅延化の錯覚が生じ、さて、さて…、さて……、さて………、です。目の前の湾。その左右から延びて湾を包むような地形、目の前の穏やかな海、背中に拡がっているだろう陸地は? 推測すれば、作品にて書かれた塔の沢とか、蔵のこととか、そういった風景がそこにちゃんとあるのでしょう。